神戸新聞
▼試練を越えて 神戸J1復帰(中) 長丁場 チーム一丸合言葉は「神義」
J1復帰を決めた9日の試合後、神戸の選手やスタッフは、「WE ARE ONE(心はひとつ)」と大書されたボードを手にして、笑顔で記念写真に納まった。
昨季は、不明確な強化方針や相次いだ監督交代などでチームは空中分解した。今季も何度か困難に直面した。第1クールは負け越し。シーズン終盤にはけが人や累積警告での出場停止が相次ぎ、勝つ難しさを思い知らされた。しかし、今季はチームの一体感が最後まで失われなかった。
神戸イレブンは「神義(じんぎ)」という言葉を共有してきた。主将の三浦が開幕前から好んで使った「仁義」の仁が、神戸の神に変化した造語。チームがバラバラにならず、仲間でいることができるように、との願いを込めた。「神義」の絆(きずな)は困難にぶつかるたび、神戸を支えた。
バクスター監督の退任が決まった8月、選手たちは「安心させて送り出したい」と一丸になった。直後の東京V戦は数的不利を克服し、逆転勝ちしてみせた。
勝てばJ1昇格だった12月2日の仙台戦。GK荻がバックパスの処理を誤って先制されるなど、自滅といっていい内容で完敗した。帰りのバスで、三浦は「荻ひとりのミスではなく、みんなのミスだ。チームが一つになって頑張ろう」と全員に話したという。
そして6日の入れ替え戦第1戦。イレブンは物おじせず、はつらつとプレーした。第2戦は終盤の猛攻を気迫ではね返した。荻もファインセーブを連発した。
鹿島の黄金時代を知る平瀬は、「ことしの神戸は、勝てないときでも選手とスタッフがまとまっていた」という。ボランチで急成長した田中は「いろんなことがあったけど、『ヴィッセル神戸』として乗り越えられた」と胸を張った。
6月ごろ、荻は「11人だけじゃなく、チーム全員で戦う意識が出てきた」と、好調の理由を説明した。リーグ戦48試合と入れ替え戦2試合。長丁場のJ2を乗り切るのには不可欠な要素を、神戸は身につけていた。
ニッカン
▼長田区の商店街で神戸J1昇格セール
神戸のJ1復帰に、神戸市長田区の大正筋商店街が祝福ムード一色だ。横断幕やパネルが掲げられ、昇格セールを行う店も。同商店街の上田司郎理事長(72)は「震災時に私たちを勇気づけてくれた。できる限りの応援をしたい」と話す。同商店街は9割以上が焼ける被害に遭った。テントで営業再開した時、同年誕生したばかりの神戸が餅つき大会などで復興に協力した。「昇格を何らかの形で祝いたい」(同理事長)という希望に、クラブ側も前向きに考えている。
トーチュウ
▼東京、神戸 近藤巡って綱引き 復帰熱望も本人の意思尊重
FC東京の鈴木徳彦強化部長は11日、J1昇格が決まった神戸に期限付き移籍中のFW近藤祐介(22)に関して「うちとしては欠かせない貴重な戦力」と語り、復帰を要請していることを明かした。その一方、神戸からは早い段階から1年間の期限延長の申し出があり、今後も両クラブ間で協議することになった。
近藤は今季はJ2で42試合に出場して10得点を記録。福岡との入れ替え戦第2戦でも貴重な先制点を決めるなどチームの主力として活躍した。
FC東京としては復帰を望んでいるものの、鈴木強化部長は「神戸で頑張っていたし、向こうで来季も試合に出られる状況なら、考えてあげないといけない。クラブとしては大事な選手だが、本人にとって何がいいかを考えたい」と説明。神戸残留か、東京復帰か、本人の意向も含め、今後も慎重に検討されることになりそうだ。
